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  鞆の沼名前神社(ぬなくまじんじゃ)のお手火神事(おてびしんじ)を告げるポスターに「日本三大火祭り」とあります。鞍馬(京都)、那智(和歌山)の火祭りと並ぶ奇祭です。燃えさかる大きな松明(たいまつ)を担いで、長い大石段を練り上がるのですから、他所では見ることのない勇壮な伝統行事です。福山市の無形民俗文化財に指定されています。

 これは沼名前神社に祀られているスサノオノミコト(祇園さん)の祭りです。夏の疫病や田畑の病虫害を防ぐための、中世以前からの行事といわれています。我々の先祖は、火はすべての不浄を清めてくれると信じていたのです。

 大きな松明(大手火)が三体、神殿正面の大石段の下に準備されます。よく枯らした松材を青竹に挟み、縄で結び固めたものです。長さは4.6メートルあります。重量は実際に作っている人に確かめると、200kgは超えるとのことです。

準備を促す合図の一番太鼓が午後6時、二番太鼓が七時に後ろの山にこだまします。午後8時、三番太鼓が鳴り響くと、神殿の奥で古式にのっとって、火打石で採火された火によって、長さ2mほどの松明(神前手火)に点火されます。数人の白装束の人たちがこの神前手火を捧げて、疾風のように大石段を駆け下り、大手火に火を移すと、再び大石段を駆け上がります。

火を移された3本の大手火が順次、大石段合計62段を一進一退しながら、神殿を目指して昇っていきます。燃えさかる炎、舞う火の粉が暗闇をそこだけ明るくしています。頭から水をかぶった数人の若者たちが熱さと重さに必死に耐えてながら、一段一段と踏みしめています。バランスを崩して横にそれたり、後ずさりするたびに観衆から悲鳴が上がります。神殿の前に3本の大手火が揃えられ、清められた三体の神輿(みこし)が神殿に納められてこの夜の神事は終わります。

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